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院長あいさつ

当院院長 波多野善明よりご挨拶申し上げます。

Greeting by director

秋田県厚生連湖東厚生病院のホームページにアクセスしていただきありがとうございます。


院長 波多野 善明(はたの よしあき)

2022年4月1日付けで湖東厚生病院 院長に就任致しました波多野善明と申します。どうか宜しくお願い致します。

どうする? 少子高齢化・人口減少

2023年4月1日
湖東厚生病院 波多野善明

 「少子高齢化・人口減少」が言われ始めてすでに相当な時間が経っていますが、出生数が80万人を切るという現実に直面して政府も「異次元の少子化対策」などの新たな政策を打ち出しました。しかし、これらの対策を行っても「少子高齢化・人口減少」は確実に進行し、そして当地はその影響を受ける全国でも有数の地域になると思われます。
 人口推計によると、秋田県では約20年後の2045年には65歳以上人口が50%を超え、人口減少率、老化率ともに全国のトップを走るとされていますが、もっと身近に「2025年問題」として労働人口の減少が予測されています。南秋田郡でも人口減少が予測されており、その予測人口を受けて秋田県厚生連、そして当院でも中期計画を立て、外来・入院患者数を推計して要員計画、事業収益など事業計画を立てています。
 幸い令和4年度の当院の収益はそれ以前より入院患者数の増加により増収していますが、外来患者数は減少しており、また、予測していなかった電気・光熱費の高騰による数千万円規模の支出増、1回のCOVID-19クラスターによる高額な入院収入減がありました。今後も人口減少以外にも予測していなかった難題(今年度は令和4年度以上の光熱費高騰)が起こりうると思われ、よりシビアな計画が必要と考えています。
 「少子高齢化・人口減少」に対する医療における方策として秋田県から「医療構想」が公表され、課題解決のための方針として1)各医療機関の役割分担による効率的な医療提供、2)より広域的な機能分化・連携強化、3)医師等がスキルアップしながら働き続けられる環境の整備、が挙げられています。もともと当院には秋田県厚生連、秋田県、周辺町村(八郎潟町、五城目町、井川町、大潟村)による3者協議で決められた「湖東地区医療再編計画」があり、現在もそれに従った位置づけと機能充実を目指しています。秋田県が示している「医療機関の役割分担と連携強化により医療を効率的に提供できる体制」を構築する医療施設として「地域包括ケアシステムを支える病院」が挙げられており、当院の方針はそれに合致するものとなっています。具体的医療として示されている軽・中等症患者の救急受け入れ、回復期患者の受け入れ、在宅患者の入院受け入れ、在宅復帰に向けた支援、退院後の在宅療養支援(訪問診療・看護、訪問薬剤指導)を当院は既に全て行っており、昨年からはオンライン診療も開始してこれからの医療に必要な体制を整えています。今後はそれぞれの一層の機能充実を目指します。
 このように「少子高齢化・人口減少」に対する医療方策として、病院の機能分化、役割分担が必要になってゆくと考えられ、高度な医療を支える病院、主に急性期医療を担う病院、診療所、そして「地域包括ケアシステムを支える病院」が医療を分担補完し、それぞれがなくてはならない医療機関として集約してゆく必要があると考えています。

 国立社会保障・人口問題研究所が発表した人口推計。2017年4月時点で100万人を割り込んだ秋田県の人口だが、2045年には60万人まで減少する見込み。65歳以上人口も50.1%と全国で唯一50%を超える。75歳以上も31.9%とため息の出るような数字。人口減少率、老化率ともに全国のトップをひた走っている。

7・15豪雨災害と事業継続計画(BCP)

2023年8月
湖東厚生病院 波多野善明

 7月15日朝、私は当院の当直業務を終えて9時半過ぎに自宅のある秋田市へ車で向かいました。やはり雨脚は強く、途中の田や小川は水量を増していましたが、国道285号線や7号線の道路にはやや大きめの水たまりはあるものの普通に車を運転できる状態でした。9時半頃無事に自宅へ到着しましたが、それからわずか3時間後位には五城目町、秋田市などで洪水による大きな被害が出て、五城目町では男性1名が亡くなられました。亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げ、被災された皆さんの1日も早い復旧を祈念しております。
 五城目町では床上・床下浸水で住宅などに大きな被害が出て上水道の断水も起こりましたが、当院は幸いに浸水を免れ建物も含め病院施設への被害はありませんでした。以前から当院の上水道は地下水を浄化して用いており、断水も起こりませんでした。しかし、職員は被災して床上浸水2名、床下浸水5名、断水30名、自家用車の故障3名となり、被災職員には病院のシャワー、洗濯機を提供して給水も行い、復旧作業などのために休暇が必要な場合は特別休暇として支援しました。
 「災害は忘れた頃にやってくる」といいますが、今回の大雨と洪水は未曾有の災害だったと思われます。災害には事前に対策を立てておく必要があり、阪神・淡路大震災後、災害拠点病院をはじめとする多くの病院で災害時における「災害対策マニュアル」の策定が進められました。また、平成23年3月11日の東日本大震災を経験して「事業継続計画:BCP」の必要性が認識され、当地域で大きな災害が発生した際に医療提供の中心的役割を果たすために、当院でもBCPを策定しています。当院は災害拠点病院ではありませんが、不測の事態が発生した際、自ら被災する中でその被害をいかに最小限にとどめ、限られた人的、物的資源を用いて迅速に対応する必要があるからです。災害時の対応全般は「湖東厚生病院 災害対策マニュアル」を基本としますが、発災後4日目以降は外部からの資源提供が可能と想定されるためBCPは発災後3日間に絞り込んで、想定した災害規模において必要な医療活動を継続するためのアクションを策定しています。BCPの詳細は割愛しますが、地震、水害、火災、感染を想定して作成しており、水害に関して八郎潟町ハザードマップによると病院施設直接の水害被害は非常に少ないと判断され、実際に今回は病院建物への浸水被害はなく診療への大きな影響もありませんでした。
 今回の災害における当院の活動としては、秋田県DMATより被災病院からの患者転院受け入れ可否の問い合わせがあり、実際の転院はありませんでしたが受け入れ態勢をとっておりました。また周辺医療機関の被災により受診できなくなった患者様に対して、臨時の処方引継ぎを行っております。7月のベッド稼働率は一時90%を超えて平均87.3%となり、この夏の猛暑と新型コロナ感染症患者の増加傾向と相まって外来を受診される患者数も増加しています。職員の通勤困難者、体調不良による欠勤者も出ましたが、増加した患者様に対して病院機能を維持できています。
 今回の未曾有の災害の経緯を検証し、不慮の災害に際しても地域医療を支えるべく準備してまいります。

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